本屋大賞受賞作品だったので購入。はじめての作家さん。大分の小さな海辺の街。主人公の三島貴瑚(みしまきこ)、あだ名はキナコ。以前祖母が住んでいた家に住むことに。
読みながら書くメモが半端なくて、どうまとめようか迷っています。そう、まずこの52ヘルツというのは、クジラの鳴く声の周波数なんですが、通常はもっと低い声で鳴くそうで、この52ヘルツで鳴くクジラは世界で一頭しか確認されておらず、おそらく他の仲間たちにはその音は高過ぎて聞こえてないだろうと。つまり、だれにも届かない声で鳴いているわけです。仲間を求めて.....。
人は肉体的にも心理的にもあまりに過酷な状況に陥ると、声すら出せなくなります。でも、それでも、その人は声を発しているのです「助けて」と。その声を、ふつうの人には届かないその52ヘルツの声を、聞いてくれる人が身近にいたら、そんな幸せなことはありません。
そんな52ヘルツの声を発している人が、3人登場します。1人は主人公。その主人公が逃げるように訪れた海辺の街で見つけた、ボロボロの姿の少年がもう1人。最後の人はここには書かない方がいいでしょう。
詳細は省きます。とにかく、とにかくこの52ヘルツの声を発する人物たちが、あまりに、あまりにも辛い人生を送っているのです。1人1人の過去を少しずつ知るたびに、涙。あんなことやこんなこと、もう勘弁してやってと思いつつ、また涙。号泣。泣くしかない。
最後の人の悲しさ。もう読んでる手が震えました。そんなに辛い思いをしているのに、なぜたくさんのやさしさを人に与えることができるのか?。本来なら疑問に思えないことすら、疑ってしまうほどの悲しみ。
というわけで、もうこれ以上は書きません。とにかく、とにかく読んでください。今もコレを書きながら涙が止まりません。ただただ、読んで欲しい、そんな作品です。