本屋大賞受賞作が続きます。この表紙、映画のソレですけど、この絵、あり得ないんです。まだ映画は観ていませんが、どう使っているんでしょうか、このカット。
さて、原作本です。面白いことにこの映画の絵を見ていても、わたしの頭の中に浮かぶ主人公の顔は本木雅弘にはなりませんでした。竹原ピストルは絵から引っ張られちゃったかな?。奥さん2人はほぼ顔が浮かばず、子供2人は、うん、普通の感じ。
作家です、主人公。名前が衣笠幸男というのを凄く気にしていて(有名人と同じ読みです)、ペンネーム津村啓を使用し本名は一切明かしておりません。奥さんの夏子とはもう夫婦関係終わっていて、悲しいくらいの冷え方。
その夏子がスキーバスで突然の事故死。彼は正直どう対応していいかわかっていない。夏子の友人のゆきも同じバスで亡くなっている。ゆきの残された家族、亭主と2人の子供との付き合いが始まる主人公。その関係の中からいろいろなことを学んでゆく。
まあ酷いヤツですよ、主人公。作家という職業柄、まともな人よりも変わった人の方がいい作品書いてくれそうみたいな、まさにそんな性格の人物。そんな彼がまずは子供とのつながりに喜びを感じ、自分が2人の子供にとってなくてはならない存在になっていることを、日々感じながら生きている。
そして友人の亭主。見た目どおりそんな性格。彼の存在がとても大事で、正直人として主人公とは雲梯の差のデキの良さを感じます。粗暴だけど、それも良し。
で、そこからです。ここからこの物語は深みに入っていく。もう、涙が止まりません。ご想像の通り、主人公が人間性を豊かにしていくという流れなのですが、最初が酷かったせいか、その変化がいちいちジンとくる。終盤ほど泣けてくる。最後はもう号泣。人前じゃ読めません。
というわけで、読み初めはここまでハマるとは思いませんでした。とてもいい作品です。映画の方はどう作ったのでしょうか?。とても気になる。おススメです。