言わずと知れたトーマス・マンの文学作品。といいつつ読んだこともなし。ただ雑学として知っているだけ。今ググったら驚いたことに......、この件については後で書きます。
静養のためにベニスに訪れた主人公のおっちゃん。ダーク・ボガードって聞くとハンフリーじゃないの?と一瞬でも思ってしまう悲しさ。港の人?に「閣下」と呼ばれ、ホテルの人?に「教授」と呼ばれる謎の人物。
でもこの役者さん、見た目は今風って言うか優男って感じで、ハンフリーのような強烈なキャラでもない。夏。暑い中背広を着たまま外などを眺めているおっちゃん。で、上の絵にもあるんですが、とある少年に目が行く。
そうね、年のころは15歳?くらい。中坊か高校生って感じ。これがまたいい男なんですよ。いい男の少年と言うと、わたしの世代ではマーク・レスター(「小さな恋のメロディ」主演)を思い浮かべます。たしかにあの作品のトレーシー・ハイドは可愛く、誰もが恋したもんですが、大人になってから観ると、いやいやマーク・レスターの美少年っぷりの方が上回っているんじゃない?、と思ったり。
でもね、マークのいい男ってのは可愛さなんだよね。この作品に出てくる彼(ビョルン・アンドレセン)の顔は、そりゃもうベルサイユのばらか宝塚って感じ。わかってもらえます?。正統派のいい男。
でこのおっちゃんが恋に落ちるわけです、彼に。でもコミュ障のおっちゃんは声をかけるなんてもっての外、ただただ距離を保って見つめるだけ。なんとな~く変なおっちゃんに見られてると気づいたっぽい少年。相手をしっかり認識すると、わざと目を合わせつつ、そらすときにうっすらと微妙な笑みを浮かべるんです。というか、そうわたしには見えました。
かといって少年から敢えて怪しいおっちゃんに接触することもなく、おっちゃんの悲しい恋はずっと片思いのまま。そして夏のベニスにひそかに流行していたコレラにやられて?.....。
そうそう、おっちゃんには唯一ハナシのデキる友達?みたいな人がおりまして、彼がまた妙に自分の価値観を押し付けてくる輩。なんか芸術について、ときおり音楽のハナシも交えて論争しておりました。
主人公のおっちゃんの正体は「教授」ってんだから、どこぞの大学の先生、それも芸術関係の人なのかな?と今の今まで思っておりました(作品内では明かされません)。でさっきググってビックリ。なんとあのグスタフ・マーラーをモデルとしていたと。あの「巨根」で有名、否、「巨人」で名をはせた作曲家ですよ。
というわけで1971公開のカラー作品。作品名からもっと違った、運命に翻弄される主人公がついにはベニスで死んでしまう、みたいなのを想像していたんですが、まさかのBLモノだったとは!。トーマス・マン、そういうのがお好きなのね。こりゃわたしがよく読む作家さん、三浦しをんちゃんが喜びそうな作品だわw。この手のがお好きな人にだけおススメしておきます。