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koyanの明石

Mac、TV、映画、カメラ、イタチ、猫等についてボチボチ語ります。書いているのはおっさんです。

「死神の精度」(伊坂幸太郎)は苦手な短編集だけど...

 

 表題の通り、わたしは短編集が苦手。それは終わるのが速すぎるから。もっと読んでいたい、もっと書いていて欲しい、みたいな欲求が抑えきれない感じです。でもこれって?、と前から疑問を抱いているんですが、もちろんわたし側の問題だと自負しております。その証拠と言っては変ですが、今回の作品は本屋大賞を載せたサイトから選んだもの(いつものとおり)。つまりみなさんの評価は高いわけです。それを短いから楽しめない、ってのはやはりおかしいかと。

 なんですかね、短編集には短編集の何かがあると思うのですよ。たとえば、その文章の少なさに込められた鋭さ、みたいなものが。字数制限のある中で(そんな制限があるのかどうか知りませんが)、ひとつの完結した物語を書く。それはそれで難しそうな課題です。

 閑話休題。さて本作ですが、6章構成となっており、主人公は一貫して死神千葉と名乗る男。彼が仕事の対象を変えて6つのハナシを語っているようなそんな作品となっております。

 正直に書きますが、最初の3章は相変わらずの短編集嫌いが強く出たのか?、面白いとも思えず渋々読んでいた感じでありました。で、4章めの「恋愛で死神」。向かいのマンションの女性を好きになった男。彼は実はかなりのイケメンなのですが、それゆえの女性の反応に疑問を抱き、わざと不細工な伊達メガネをつけております。もちろん対象の女性は地味目の雰囲気。このおハナシがやっとこさ面白く読めまして、そういう感じの恋愛だからかな?と、その要因を考えたりしておりました。

 次の5章。母親を傷つけ、渋谷で若者を刺殺してしまった男と千葉の、北への旅を描いたロードムービータイプの内容。まあクソみたいな男(犯人)なんですが、その挙動というか、千葉との会話等からなんていうんでしょうね~、人間性のどこかしかに惹かれるような面が出てくるんですよ。これも面白いと思う。

 最後の6章。年老いた女性が営む美容院。千葉の対象は彼女なんですが、このキャラがまた魅力的。彼女が千葉に与えた課題の謎解きも良かったし、ここでは書きませんが、小さなものと大きなものの驚きが2つ隠されておりました。正直、ズルいとも思ったのですが、ここまで読んだご褒美だと思い、素直に味合わさせてもらいました。面白い。

 というわけで、後半にきてわたしの短編集嫌いが、徐々に修正されてきたような気がした作品となりました。面白いと思った後半の3章は、すべてその登場人物に惹かれたためであります。もっと他の短編集も読み込んだ方が良いのでしょうか?。努力してみます。

 そうそう、この作品、映画になっておりました。

 金城武、うんうん、主役の死神である千葉にピッタリのキャストって気がしますw。1章と4章と6章はかならず入っているでしょう、と推理しておきます。どこかで出会わないかな、探して観てみたい。