久しぶりの宮部みゆきです。恩田陸と比べれば読んだ量的にはかなり少ないのですが、作品的に印象に残っている感じ。コレとコレとか↓
そう、ゲーム絡みです。ICOは、というか、ヨルダはゲームキャラとして今日もなお、「最高にかわいいで賞」の栄冠に輝いております。その作品を後付けで小説化した宮部みゆきの勇気に乾杯!、って感じ。
ブレイブ・ストーリーはゲームは未体験でアニメでしか観てませんが、やはり原作はかくありき、というその深さにおいおいと泣かせてもらいました。どちらも好きな作品。
ミステリーっぽい一般的な作品も読んだのですが、恩田陸と比べて、なんていうんだろう、明るいというか軽快というか、そんな印象。恩田陸が常に重たいわけではないのですが、作者としての印象はそうなっております。
で今作。内容的にはかなり重いのですが、ハナシの運びっていうか雰囲気は、やはりカラッとしたものが感じられるんですよ、宮部みゆきは。
おっと閑話休題。最近の個人的な流行りで、読みながらメモを取っているのですが、今作もけっこうな量のメモが。それをいちいち書いていると終わらないので、簡単にまとめます。
ストーリーは日下守という16歳の男の子が主人公。4歳の時父親が横領の疑いをかけられたまま行方不明。母はそれでも父を待つ覚悟をしていたのか、どんなに非難されようとも引っ越しすることもなく暮らしますが、守が15歳の時に脳血栓で死亡。
守は母親の姉である浅野よう子の家に引き取られる。5つ年上の従姉と、タクシードライバーの叔父と暮らしている。が、あるとき事件が。父親のタクシーが交差点で飛び出してきた女子大生を轢いてしまい、死亡させてしまう。
この事件をきっかけに、以前にビルの屋上から身を投げた女性と、駅のホームから飛び降りた女性が、タクシー事故で亡くなった女子大生がとある関連で結びついていることを知る。たて続けに自殺をするかのように命を落とした3人の女性。そして関係のある最後の1人となる女性の存在が。彼女も己の意思に反して命を落としてしまうのだろうか?。
てな感じでおハナシは続きます。彼女らに恨みを抱く謎の男の存在。そして守のそばをうかがうように付きまとう別の男。後者も正体が割れてしまうと、予想以上に守との距離の近さに驚かされますが、問題は前者の、そう犯人ですよ。このオチが後半半ばあたりで明かされるのですが、正直おいおい、マジかよって仕掛けだったんですよ。ちょっと犯罪に結びつけるには、確証がたりないというか、心もとない方法。ココだけはね、ちょっと残念でした。
というわけで、おハナシとしてはとても読みやすく、ぐいぐい読み進めてしまう宮部みゆきらしい作品でした。文章的な魅力はとてもあるんですよ。ただただ、オチの仕掛けが...。それと最後の最後のキーワード、わたしには意味わからん。ごめんなさい。でも面白いからおススメしておきます。