本屋大賞ハズレなし、という家訓にのっとって購入した本。お題のとおりこれは性欲について書かれた本である。しかしその性欲が社会的に正しいものなのか?、否、性欲に正しいとか正しくないとかあるんだろうか?。そういう思いが喉の奥に引っかかったまま、最期まで納得できずに読み終えてしまいました。
性癖と言った方がわかりやすい?。だれしも人に言えないような性癖のひとつやふたつある?、え?、オレだけ?。その入り口から否定されると何も言えなくなるんですよね。
主人公のその受け止め方が、とにかく重い。自分は人と違う。だから社会からはみ出している。社会に受け入れられていない存在。生きていても仕方がない、明日なんてなんの価値もない。いやいや、なんでそうなるの?。いいじゃん、水が好きだって。そりゃ変わっているよ。でもさ、変わっている人なんてごちゃまんといるんだから、気にするな!。と言いたい。
その重さの覚悟を、最後にしっかりと仲間を通じて見せてくれたのは、いい。いいよ、格好いいとすらいえる。だから、普通に生きようぜ。ん、普通ってなんだ?。
というわけで、どうにも彼と彼らの気持ちがわからずに、消化不良のような読後感でした。おっと、一つ聞いてイイですか?。カバーの裏の説明に「ある事故死をきっかけに」とあるんですが、事故死ってなに?、誰が死んだの?、マジわからないから教えて。えっ?、もしかしてあの同級生の男???。もっと登場人物みんなの人生が重なるような事故死かと思ったよ。
そうそう、神戸八重子ちゃん、どうにも好きになれないキャラだったけど、終わりの方の大也に切った啖呵、格好良かったよ、とても。