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koyanの明石

Mac、TV、映画、カメラ、イタチ、猫等についてボチボチ語ります。書いているのはおっさんです。

「かがみの孤城 上・下巻」(辻村深月)は若さを感じる

 

 

 TVCMでガンガンアニメ映画の宣伝しまくりなこの作品。なんと2018年の本屋大賞受賞作で、しかも過去最高の投票数を獲得したとのこと。さっそく通販で上下の文庫本を購入。まず気になったのが上巻の表紙。こころ(主人公の女の子)えらいベッピンさんやないかい~!。中の章紹介の絵は7人の子供たちとオオカミさま。

 で、先に書いちゃいますが、下巻に移ったとき表紙のオオカミさまの目のうつろさに心がざわめき、開いてすぐの見開きの絵、これがヤバい。掃除のためか椅子を後ろに片づけられた教室。真ん中には古い大きな姿見。その横でちょこんとしゃがみこんでいるオオカミさま。小さい。小さすぎてまだ5、6歳の少女に見える。仮面をかぶっているので表情は見られないが、何とも言えぬ淋しさ、悲しさ、不安感などが入り交じり、わたしの心をとても怯えさせる。

 そう、この物語を読み始めて、最初に思ったのがこのオオカミさまのこと。学校を不登校になってしまった7人の子供たちを城に集め、その案内役として活躍している狼のお面を被ったオオカミさま。7人それぞれ重い事情があるんだろうけれど、ならばこのオオカミさまってどんだけ大きなものを背負っているんだろう?と。

 となると一番気になるのはラストの種明かし。コレがですね、ちょっとだけ引っかかってしまったんです。哀しみの深さは十二分に表されているのですが、じゃあ、他の子供たちとの関係は?。なぜこんなまどろっこしいことを?。神様からの制約?。う~ん、やはりそこは引っかかってしまう(コレはもちろんわたしの読解力の世界での感想です)。

 メインの感想はもう書いてしまいました。もちろんその種明かしのせいで子供たちの存在感が薄くなるわけでもありません。そう、いじめ。どんだけ酷いことをするんでしょうか?、子供たちって。否、大人になったって、社会に出ても似たようなことが身の回りで起きているじゃ~ありませんか?。人間って不思議な生き物です。素晴らしいこともすれば、酷いこともする。自分が標的になったとき、どうすればいい?。そんなときありがたいのが喜多嶋先生の存在です。しかし彼女があの子だったなんて・・・

 でもね、わたしが一番に心を動かされた子がいます。書いちゃっていいかな~?。東条萌ちゃんです。この子は自らの経験から、自分がどう行動すべきか、どう考えるべきか、どう感じるのがイイか、すべてをコントロールできています。凄いですよ、喜多嶋先生という頼るべき大人たちすら超えてしまっている。わたしを人生の弟子にしてほしいくらいです。この作品のVIPは彼女に決定。

 あら、ストーリーをまるで書いてませんでした。そこは読んでのお楽しみということで。それにしてもあのTVCM。みんなが城の屋上?で海を眺めているシーン。なんですかアレ?。アニメの監督さんはそれなりに原作を改編しているようです。原作では城の外観はおろか、外の景色は中庭以外いっさい見ることができませんから。

 というわけで、やっとお題です。わたしが好きな作家さんである恩田陸や宮部みゆき等々。彼女らはほぼ同年代の作家。今回確か作者さんが30代後半くらいのときの作品だと覚えているのですが、ともあれ読んでいて感じたのが、「文章が若い!」。もちろん稚拙とかそんな失礼な意味じゃないですよ。なんか若さを感じて仕方なかった。あ~説明できないもどかしさよ。そうそう、何度も泣けました。ラストはさらに号泣するかと覚悟していたのですが、あの引っかかりのせいでそこまでには至りませんでした。が、面白い作品です。ぜひ読んで欲しい。そしてアニメ映画も観てみたい。おススメです。