久々の恩田陸。最近本屋大賞受賞作品を漁っているわたしですが、コレは確か違う気がする。なんだろ、近くの古本屋さんで見つけたのかな?、それとも山本周五郎賞だから?。覚えてない。
チラっと中を開くと、ヤバい、脚本じゃん!。役者名が書いてあって、それぞれのセリフがあって、ト書きがあってみたいな。わたし、どうにもこの脚本みたいな本に良いイメージが無いんですよ。昔ですね、「桜の園」という名前だけは知っている文芸作品に手を出したんですよ。記憶が正しければ、確かこの本、中身が脚本になっていたと。
もちろんわたしのことですから、内容についてはきれいさっぱり忘れています。ただ、ただただ、あまり面白くなかったな、という記憶だけが何故か残り、この手の本に良い印象をもってないという、ただそれだけのしょうもない印象です。
がしかし、手に入れたからには意を決して読み始めました。助かったのは、すべての章が脚本形式ではなかったこと。そうですね、大まかに3つのタイプの章に分類できます。まずはわたしが恐れていた脚本形式。まさに舞台での女優3人により1人芝居。あとは普通の文章なのですが、おそらく登場する女優、脚本家にまつわるメインのストーリー。そしてまったく関係のなさそうな男2人のひたすら歩いている旅?のハナシ。
しかもですよ、それぞれの時系列がまたけっこうなぐちゃぐちゃ具合で、読んでる人を不安に貶めるような造り。頭痛い系。わたしは最近本を読みながらメモを取る癖がついているのですが、そのメモ量たるや過去最高を記録しています。だって書かないとわけわかんなくなるから(書いててもわかんないですけど)。
この本を読みながらフト思い出したのが、昔読んだこの本↓
そうねそうね、2つのまったく違った世界のハナシが交互に語られるんですが、なんとな~く接点があるのが感じられる、そんな内容の本。でも残念ながらこの本は最後まで種明かしをしてくれませんでした。そこは自分で想像せよ、ってタイプなんです。
でもね、恩田陸はラストで見事までに、今までの伏線をほぼきれいさっぱり回収してくれました。構造が構造なのですべてスッキリとはいきませんが、な~るほどそうなっているのねと納得は出来ます。そこはとてもありがたかったですよ。
ただね、他がスッキリしただけに、わたしの場合2つだけ気になるところが残りました。この本の内容でも触れている謎の人物の正体についてと、就職活動をしていた女学生の3つの顔。後者はもしかして女優3人と関係している???。とこの感想を書いていて思い出しました。最後に書かれている解説、まだ読んでないや。そこになんかヒントが書いてあるかな?。あとで読んでみます。
というわけで、とても苦労して読みましたよ。脳みそがとても疲れますが、面白いのは面白い。だから最後まで読めたんだと思います。さすが恩田陸、いつもとは違う難しさを味合わせてもらいました。おススメします。みなさん、ラストでスッキリしてください。