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koyanの明石

Mac、TV、映画、カメラ、イタチ、猫等についてボチボチ語ります。書いているのはおっさんです。

「風が強く吹いている」(三浦しをん)は駅伝が嫌いな人でも読めます

 

 三浦しをんです。以前、この作品↓で文章がとても気に入ってしまいました。

koyan.hatenablog.com

 も一度この人の作品を読みたいと思っていたところで、例によって本屋大賞でこの作者の作品を見つけ、購入しておいたものです。

 で、表紙。少し気になる。冒頭を読み始める。風呂屋帰りの学生。コンビニでなにやら犯罪を犯したらしき若者が、彼のわきを走り抜けてゆく。彼はその姿を見て「なんて美しいフォームなんだろう」と。自転車を借りて追いかける彼。後ろから見ていてもほれぼれするような走り姿。ってこの印象的なストーリーのはじまり、なんか記憶にあるんですよ、びっくり。

 その先を読み進めるとともに、しだいに明らかになってきたわたしの記憶。そうだ、駅伝だ。ボロ学生寮の素人を集めて箱根駅伝を目指すヤツじゃん!。このときわたしは記憶を改ざんしておりました。そうだ、コレ、アニメで観ようと思って何回か観て、駅伝だからやっぱやめようって観るのやめたヤツだ、と。

 そうなんです、わたし、駅伝が好きじゃありません。特に強り理由があってそうなったわけでもないのですが、あの、自分がやらなければみんなに迷惑がかかる系の最たるスポーツ、の代表格としての駅伝が好きではないのです。

 だからその記憶を取り戻したとき、この本もここで読むのをやめようと思ったんです。駅伝だからゆえに。だけれど、ぐずぐずと読み進めるうちに、わたしの過去の記憶が間違っていることにようやく気付きました。

 そうです、TVアニメで観たこの作品。ちゃんと最後まで観たんですよ。嫌いなはずの駅伝を、何故?。きっと面白かったんだと思います。例によって詳細な記憶は曖昧なままだし、ラストシーンなどもまるで思い出すことはできませんが、面白いと感じたから観たんですよね、嫌いなくせに。

 閑話休題。すいません、前置きが長過ぎて。そんな流れでこの本も最後まで読むことができました。てか、とても感動しました。面白いです。特に登場するキャラクターたちの魅力。箱根駅伝は10人で走るのですが、その10人の学生寮の住人達がとてもいい。その証拠に彼らを思い出せるんですよ、全員。

 書いてみましょうか、メモなしに。走、ハイジ、ニコちゃん、ユキ、双子、キング、マサ、王子、神童。ほらね、これで10人。愛すべきキャラたちです。

 陸上の名選手だった走(かける)がとある大学に来たことで、メンバー10人揃うことを待ち望んでいた陸上部のハイジが、学生寮のみんなを説き伏せ、箱根駅伝を目指すというストーリー。ちなみに走の入学がきっかけですから、季節は春。本番はご存じのように新春。そしてその選考会がその前なんで、なんと半年しか余裕がないのに、ほぼど素人のみんなで頑張るという、ハチャメチャな設定。ファンタジーと言われてもしかたありません。

 経験者は走、ハイジと陸上を前にやめて現在はニコチン中毒のニコちゃんだけ。ユキは大学現役で司法試験に受かった天才ですが、剣道をやってました。もともと運動神経の良い双子。忘れたけど山道が得意な神童。あとはほぼ運動すらど素人のメンバーです。特に王子は並外れたウンチ(運動音痴&体力なし)。

 でもね、読んでいると引っ張られちゃうんですよ、その夢の扉の方向へ。今回特別に文章がどうとか思わなかった三浦しをんですが、全体的に上手いんでしょうね~、読者を惹きつける力は相当なものだと思います。

 厚めの文庫本でしたが、まだ半分弱残すところで、本番が始まります。え?、こんなに残してもう入っちゃうの?。と正直不安に思いましたが、いやいや、そんなボリュームなどどこ吹く風w、後半も濃密にしっかり楽しめました。

 というわけで、スポーツ好きじゃない人でも、駅伝はどうも苦手って人でも、読めますよ、感動しますよ、泣けますよ。読んでいる間とてもしあわせな気分にさせてくれる、とても素敵な作品です。ぜひ、読んでください。おススメです。そうそう、ヒロインの八百屋の娘、あの子もいいですよ。