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koyanの明石

Mac、TV、映画、カメラ、イタチ、猫等についてボチボチ語ります。書いているのはおっさんです。

「鹿の王」(神橋菜穂子)は素晴らしい

 

 いや~、この題名、なんだろ?TVCMで見たのかな?。そんときわたしの頭に浮かんだのは、ずいぶん前にドラマでやってた「鹿男」。なんか面白くて観てた記憶アリ。だって頭だけ鹿なんだものw。

 そんな記憶持ちのわたしがこの本を選んだのは、そう、本屋大賞漁りをやってたから。恩田陸もずいぶん読んだし、次は何読もうかと悩んだときは、本屋大賞ですよ。例題の受賞作を検索して、古本で安くなっているのを探す。この作品もかなり前なんですね、受賞したの。だから安く買えたというハナシ。

 表紙の裏、作者紹介。なんと、あの「獣の奏者」の作者さんですか。あれね、NHKでアニメやってたの観てたんですよ。それが正直言ってつまらなかった。まず、肝心の獣の姿や動き、表情がダメで感情移入できない。だから獣を愛する主人公エリンにも感情移入できない。困ったもんだ、鹿男とエリン。なんか悪い予感しかしない。

 でもね、読み始めたら.....。もう、すぐにハマりました。主人公のヴァンが奴隷として働いている岩塩鉱が、犬に襲われる。噛まれた人はみな死んだのに、なぜかヴァンだけは生き残る。そして、幼子のユナを見つける。

 ぐいぐい引き込まれる。主人公はもうひとり居て、昔黒狼熱で滅んだ国の末裔である医者のホッサル。若い彼が病気と向きあう姿は、なぜかすがすがしさを感じるほど。古い宗教的な医術の考えも、確かに、確かにアリだとは思うけれども、ホッサルのそれは現代医学そのもの。病原菌やウイルスまで想定して、人々を救おうとしています。

 他に登場する人々も、みな魅力的に描かれております。ユナの可愛さは天下一品。今放送している某アニメのアーニャに匹敵するくらいw。ヴァンを追い続けるモルファという組織の女性サエ。ホッサルの彼女というか助手のミラルも捨てがたいですが、サエはやはりこの物語のヒロインです。動物や人を追跡する技が半端ない。そして弓の名手。終盤ではすっかりヴァンに思いを寄せている描写が増え、読んでるコッチが嫉妬しちゃいます。容姿は詳しく描かれておりませんが、美人であると誰もが思い込む設定でしょう。

 いくつかの国、それぞれの事情。その国に生きているひとの考え。戦争で追い出された民。勝った側でも無理やり移住させられた民がいる。統治されていることが100%悪いことでもなく、メリットもしっかりとある。そんなそれぞれの立場の人々が、黒狼熱という病に対し、それぞれの行動をとるのです。このあたりの設定がまさに素晴らしく、感情だけで動いているわけではない複雑な心境の描写も、実に上手に描かれております。

 読書中に書いていたメモの量もかなりの枚数に。全部書いていたら終わりません。というわけで、とにかく面白かったことをみなさんに伝えたい。ぜひ、読んでください。