一つ前の記事(「蹴りたい背中」綿矢りさ)で「今読んでいるとある作品とイメージがダブるんですよ」と書いていたのが、この作品。違うとはわかっているんですが、どうもにな川君と彼のイメージがね(笑
読み始めてすぐに引き込まれました。ストーリーとか設定の良さもさることながら、文章によく見られる余計な装飾がほとんどない、素直な表現力に惹かれたのかもしれません。
主人公の彼の生き方も、多感な頃を思い出せば類似点を見つけられなくもない。そして彼女。女は愛嬌を地で生きてそうな元気な子。でもね、その元気が当然のことながら、死への恐怖への防御のためであろうことは、少し読み進めれば想像に難くない。
この時点でわたしの心臓はガッツリと鷲掴みにされました。読む前から知っていた「最後には号泣する」という評判。終盤へ近づくほど、それが怖くて読む速度が落ちてしまいました。
正直な感想。号泣はなんとか免れることができました。彼女とともに格段の成長を遂げた彼の涙。確かにあそこは危なかった。そしてもう一人の恭子の涙。これも辛かった。でも、予想したほどの波は襲ってこなかったのです。
かといって、物足りなかった訳ではありません。終わり方もとても好きです。実写の映画になって今ちょうどCMを打ち始めた時期ですが、とても気になりますね。おすすめです、ぜひ読んでください。
追記:今、YouTubeで映画の広告を見たんですが、12年後って一体なんのこと?。ヤバい、原作にないことが主題のように語られている...